日本書紀歌謡レクチャー・コンサート 令和元年六月十六日、和歌山県民文化会館小ホール

この度、日本書紀歌謡レクチャー・コンサートを開催させていただくこととなりました。

皆様、お誘い合わせの上どうぞお気軽にいらっしゃってください。お待ちしております。


令和元年六月十六日、和歌山県民文化会館小ホール

開場 PM 1:30 開演 PM 2:00

チケット前売り3,000円(当日3,500円)小・中学生は無料

 [チケット取扱い]和歌山県民文化会館 TEL:073-436-1331

[チケット取扱い・お問合せ]旋律の泉を訪ねる会事務局 TEL:090-1078-9473(黒田)


【プログラム1】:素戔嗚尊の歌

日本神話における「素戔嗚尊(スサノオノミコト)」は、知れば知るほど魅力溢れる男性神です。

天上界では悪さの限りを尽くし、地上界に降ろされたスサノオノは、出雲の地で、善良勇敢なヒーローにモタメルフォーゼ(変身)して大活躍します。

【古事記歌謡第一番歌】

《 やぐもたついづもやへがきつまごみに やへがきつくるそのやへがきを 》

八雲立つ  出雲八重垣  妻籠に  八重垣作る  その八重垣を

【日本書紀歌謡第一番歌】

《 やぐもたついづもやへがきつまごみに やへがきつくるそのやへがきゑ 》

八雲立つ  出雲八重垣  妻籠に  八重垣作る  その八重垣ゑ

【古事記歌謡・一字一音】     【日本書紀歌謡・一字一音】

夜久毛多都   (八雲立つ)     夜句茂多兔   (八雲立つ)

伊豆毛夜幣賀岐 (出雲八重垣)    伊弩毛夜覇餓岐 (出雲八重垣)

都麻碁微爾   (妻ごみに)     兔摩語昧爾   (妻ごみに)

夜幣賀岐都久流 (八重垣作る)    夜覇餓枳都倶盧 (八重垣作る)

曾能夜幣賀岐袁 (その八重垣を)   贈廼夜覇餓岐廻 (その八重垣ゑ)

記紀で同じ歌謡ながら、【その八重垣を】と【その八重垣ゑ】の違いがあります。つまり【を】と【ゑ】です。

日本書紀歌謡の一字一音は、その当時、唐の時代の原音声調によって音写されています。また一方、古代日本語アクセント・マーカーである星点が付された写本があり、これらを基に日本書紀歌謡の旋律復元(音楽的復興)という、未知なる研究をしています。

【プログラム2】:髪長姫を娶る歌

世界遺産登録、仁徳天皇陵を含む「百舌鳥・古市古墳群」のビッグニュース。

仁徳天皇がまだ皇太子「オオカサザキノミコト」の時、父・応神天皇はご自身の妃にと、日向の国から髪長姫を迎えることにしていました。

ところが、オオカサザキノミコトは難波の港で髪長姫を見るや否や、一目惚れしたのです。

父天皇の側近にそのことを伝え、「何とかわたくしに賜っていただけないか」と懇願します。もちろん、天皇は快く承諾されました。応神天皇の歌です。

《 いざ吾君(あぎ) 野に蒜(ひる)摘みに 蒜(ひる)摘みに 

わが行く道に かぐわし花橘(はなたちばな) 下枝(しづえ)らは

人皆取り 上枝(ほつえ)は鳥ゐ枯らし 三つ栗の中つ枝の 

含籠(ふほごもり) 明れる嬢子(をとめ)いざ栄(さかへ)映(ば)えな 》

【プログラム3】:大和武尊(ヤマトタケルノミコト)の歌

『古事記』、倭建命(ヤマトタケルノミコト)の望郷歌

《倭(やまと)は 国のまほろば たたなづく 青垣 山隠れる 

倭し美(うるは)し》

【古事記原文】一字一音

     

 

【日本書紀原文】一字一音

     

 

【口語訳】わたしの生まれ育った大和の国は、こころ安らぐ素晴らしいところ。畳重(たたみかさ)なる青垣のような山々、緑なす大和の国は、こころの故郷、最も美しい国でした。

【プログラム6】:軽太子(カルノミコ)の悲歌

木梨之軽太子(キナシノカルノミコ)は同母妹(いろも)の軽大郎女(カルノオオイイラツメ)と恋に落ちます。

《 あしひきの 山田を作り 山高み 下樋(したひ)を 走(わ)しせ 

下とひに 吾が恋(と)ふ妹を 下泣きに 吾が泣く妻を 

今夜(こぞ)》こそ やすく肌触れ 》

【プログラム6】:枯野(からの)の琴(こと)

《 枯野(からの)を 塩に焼き 其(し)が余り 琴に作り 

かき弾くや 由良(ゆら)の門(と)の 門中(となか)の 

岩礁(いくり)に 振れ立つ なづの木の 

さやさや さやさや さやさや 》

この「なづの木」を、「なぎの木」と考えています。

梛の木は速玉神社の御神木にもなっています。

 この曲は、古事記・日本書紀歌謡の中でも最も美しい旋律です。

つまり、日本歌曲の最高峰といっても過言ではないように思います。

 コンサートの最後に、皆さまとご一緒に、その旋律を体感していただきます。

追伸

令和について外務省は海外メディアに、「美しい調和」の意味だと伝えました。

和歌山県の皆さまですから、「美しい和歌」「高貴なる和歌山県」だと考えます。

                                                                                                           Sato Sappho

佐藤 溯芳(さっぽう)

人間魚雷「回天」についての研究と日本書紀・古事記の歌謡を読み解く第一人者、佐藤溯芳(さっぽう)の経歴、活動についてご紹介致します。

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